「文鳥ってかわいい!お迎えしよう!」
と思っているあなた・・・ちょっと待って!
お迎え前に知っておきたいこと
文鳥を迎える前は、小鳥についての知識がほとんどありませんでした。友達から2時間ほど文鳥について話を聞いただけで、その翌日には文鳥カノンを迎えました。こんな飼い主のもとで、元気に育ってくれたカノンには感謝しかありません。
今回は私が、「これはお迎え前に知っておいたほうがいい!」と思うことを、前編と後編に分けてご紹介する予定です。前編では、「クリッピング」についてお話したいと思います。
クリッピングとは?メリットは?
「クリッピング」とは、鳥が飛ぶときに必要な「風切羽」を一部切ることで、あまり飛べなくする方法のことです。
換羽で生え変わればまた飛べるようになりますが、一度切った羽は換羽が来るまで再び伸びることはありません。クリッピングには正しいやり方があるため、知識がないまま自分で行うことは厳禁です。また、一部のお店ではクリッピングをして生体を販売していることもありますが、これは珍しいことではありません。
私がカノンを迎えたお店ではクリッピングをしていなかったため、「クリッピング」という言葉をカノンを迎えた後で初めて知りました。
クリッピングには賛否両論がありますが、まずはそのメリットについて紹介しましょう。
- ロスト防止(外に逃がしてしまうこと)
- パニック時に部屋の壁などに激突し命を落とす危険を防ぐ
- 人に懐きやすくなる
ロスト防止
ロスト(Lost)とは、愛鳥を不本意に外に逃がしてしまうことを言います。
どんなに気をつけていても、「ほんの隙に」「無意識で」「他のことに気を取られて」愛鳥を逃がしてしまう可能性があります。そうした時にクリッピングをしていれば、万が一外に出てしまったとしても、保護できる可能性は高くなります。
「気をつけていればロストなんてしないよ」と思われるかもしれませんが、SNSでは、ロストや迷い鳥の保護情報などを頻繁に見かけます。それだけロストは誰にでも起こり得ることだということです。
私も以前、部屋に大きめのクモが現れたとき、虫が大の苦手な私は、放鳥中にも関わらず慌てて窓を開けてしまったことがあります。しかもクモを追い出すまでの数分間、完全に気を取られて窓が全開になっていました。
クモをなんとか外に追い出し、窓から身を乗り出して確認しているときに、ふとカノンが私の肩に乗っていることに気づき、ぞっとしました。カノンを肩に乗せたまま、祈る気持ちでゆっくりと窓を閉めました。ラッキーなことに、私は苦手なクモだけを外に逃がし、大切なカノンをロストすることなく済んだという経験があります。
パニック時に部屋の壁などに激突する危険を防ぐ
パニックなどを起こした愛鳥が、部屋の壁に激突する事故を防ぐメリットがあります。
カノンを迎えて間もない頃、保温電球が心配で一時的に暗くしたプラケースを何気なく開けてしまったことがあります。その結果、驚いたカノンはパニックになり、暗い部屋を勢いよく飛び回り、壁に3回も激突しました。奇跡的にケガはなかったものの、これも幸運だったと言うほかありません。
この時にクリッピングをしていれば、壁に激突するような事態は避けられたでしょう。
人に懐きやすくなる
クリッピングをすると思うようには飛べないため、常に飼い主の近くにいます。机の上などにいて、目線を合わせやすくなったり、コミュニケーションも増えるので、当然懐きやすくなります。
実際、インスタのフォロワー様から、お迎え時に「クリッピングすると人懐っこくなりますよ」とお店の方に勧められたという話を聞きました。
クリッピングのデメリット
クリッピングにはデメリットもあります。先に書いた通り、クリッピングをすると、飛ぶための羽を切るので飛べなくなったり、飛びにくくなったりします。
ヒナの頃にクリッピングをした場合「羽を羽ばたかせても飛べないんだ」と学ぶと、飛ばなくなる子もいると言います。また、本来ヒナは「飛ぶ練習」をしますが、その練習ができなければ、飛んだり着地する時のバランス感覚を養うチャンスを失うことにもつながります。
そしてヒナ・成鳥問わず、大きなデメリットとしてあげられるのは以下の3つ。
- 運動不足になる(太りやすくなる)
- ストレスを抱えやすい
- 飛べないことで危険が増える
運動不足になる(太りやすくなる)
鳥は飛ぶことで、多くのカロリーを消費するので、飛べなくなるとどうしても太りやすくなりますし、太ることは人間と同じように健康に害を及ぼしやすいです。
ストレスを抱えやすい
飛べない鳥の精神的なストレスは大きいです。危険を感じた時、本能的に飛ぶことは身を守るための行動です。飛ぶことで恐怖から逃れ、ストレスを回避します。
しかし、それができない状況にある鳥たちのストレスはどれほどのものでしょうか。もし自分がその立場だったら、そのストレスに耐えられる自信がありません。精神的なストレスから、毛引き症などの問題が起こりやすくなることにも注意が必要です。
飛べないことで危険が増える
文鳥は普通に飛べても床(地面)をよく歩く鳥ですが、飛べない子は特に床を歩くことが増えるので、気を遣うことが増えます。一瞬目を離した隙に、思わぬところにいたりすることもありますし、文鳥と人間だけならまだしも、他にもペットがいるときはさらに注意が必要です。
また、椅子や机の上だけでなく、たまたま一生懸命飛んで高いところに行ったものの、今度は着地がうまくできなかったり、落下するなどの危険が増えることもあります。
クリッピング、どう思う?
クリッピングをするかどうかは飼い主の判断で、クリッピング自体に「正しい」「間違い」はありません。
ただ、何でもそうですが、「メリットだけを取る」というのは結構難しいものです。事故を防ごうとして良かれと思ってクリッピングを行っても、鳥にとっては大きなストレスを引き起こす可能性があります。メリットを得ようとした結果、思わぬデメリットが発生することもあるのです。
メリットとデメリットを挙げてみて分かるように、「飛ぶから危険、飛ばないから安全」ということにはならないし、羽があっても無くても生きている以上危険はつきもので、100%安全は存在しないと思っています。むしろ、文鳥が自分で危ない!と思ったときに、危険回避できないデメリットはかなり大きいと感じます。
なので個人的には、クリッピングは「飛んだら危ない、逃げてしまわないように」という、少々安直な手段に感じてしまい、クリッピングという手段にあまり良い印象は持っていません。
まとめ
もし私がクリッピングのことを何も知らず、カノンを迎えるときにお店の方から「クリッピングすると人懐っこくなりますよ」とおすすめされたら、お店の方が言われるなら!とそのアドバイスを聞いて「じゃぁお願いします」と言っていたかもしれません。
クリッピングは、私たちの切りすぎた前髪と似ていて、あとから後悔しても、切ってしまったら時間が過ぎるのを待つしかないのです。
カノンは飛ぶのが大好きで、ヒナの頃でもよく窓際に飛んでいっては器用にカーテンにつかまったりしていたが、クリッピングしていたらその姿は見られなかったでしょう。
先にも書いた通り、クリッピングすることに「正しい」「間違い」はありません。クリッピングして生体販売しているペットショップは多いですし、お迎え時に「クリッピングしますか?」と聞かれることがあるので、しっかり判断ができるよう、是非お迎え前の知識としてクリッピングというものを知っておいて、ご自分の意向や生活、飼育スタイルに合ったほうを選んで頂けたらいいですね。
近日中に公開予定の後編では、クリッピング以外のお話をしたいと思うので、お楽しみに♪
クリッピングの写真提供:インスタアカウント@happy_bucho_life「わた と あめ」様
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