文鳥の鳴き声で、気持ちを知ろう
鳥にも「喜怒哀楽」があります。
が、私は文鳥を迎えるまで「鳥に感情なんてあるの?」と本気で思っていました。しかし、カノンを迎えてからその感情の豊かさに驚かされ、同時に「こんなにいろんな鳴き方をするんだ!」ということも知りました。
今回は、文鳥の鳴き方とともにしぐさも交えて11種類を紹介していきたいと思います。
ピッ!ピッ!(嬉しい、楽しい、呼び鳴き、かけ声)
この「ピッ!」という声は、一番よく聞く鳴き声ですが、その時その時によって意味合いが変わります。
おやつをあげると、とてもご機嫌になります。お気に入りの場所までおやつを運ぶと、煮干しや海苔をくわえたまま「ピッ!ピッ!」と鳴きます。普段の鳴き方よりも可愛らしい声で、ご機嫌なのは一目瞭然です。
また、私が仕事から帰って玄関の音がすると、ケージの中から「はやく出して!」と催促をするときにも「ピッ、ピッ!」と忙しく鳴きます。
しばらくお互い干渉し合わない時間が続いた後、突然「ピッ!」と鳴いて呼ばれることがあります。私が「はい!」と返事をすると、また「ピッ!」と鳴きます。この「ピッ!」「はい!」のやりとりが何度か続くことがあります。「ただ呼んでみた」だけなのか、「いつまでボクを放っておくの?」と言っているのか、これを合図にカノンとのコミュニケーションタイムが始まるのです。
そのほか、飛ぶときの勢いづけに「えい!」という意味で「ピッ!」と鳴いたり、地鳴きと言って、何もないときにも「ピッ!」と鳴くこともあります。
同じ「ピッ!」でも毎日一緒にいると、その区別がつくようになります。
カチカチ、ギシギシ、ギチギチ(喜び、嬉しさ)
文鳥は嬉しいと、クチバシを鳴らします。
たとえばこんな時。
- 朝起きて「おはよう」のとき
- ご飯を食べたあと
- 飼い主の手の上に来たとき
- 水浴びをしようと水の中に入ったとき
- 頭を撫でてもらったとき
カチカチと聞こえることもあれば、ギシギシとクチバシをすり合わせるような、歯ぎしりにも似た音をさせます。
自分で手(クチバシや足)が届かない、頭の辺りを撫でてあげると、目を閉じて喉を動かしながらギシギシと音を立て、とても気持ちよさそうにしますよ。嬉しさが伝わってきてとても可愛いです。
ギャルルルル、ガルルルッ(怒り)
文鳥の怒りは激しいんです。
「ギャルルルル!!!」「ガルルルル!」とまるで犬の鳴き声にも似たような声で怒ります。もちろん鳴き声だけではなく、クチバシで怒りの対象を激しく突いて怒りを表します。
次の動画は、日常のお世話風景だが、ホウキが気に入らず怒り続けているシーンです。
普段から怒りっぽい文鳥ですが、特に換羽期やオスの発情期などイライラしやすい時期は、個体差があるもののよく怒ります。そっと見守ってあげましょう。
怒りを超えて、攻撃態勢に入ると、飼い主側もケガをすることもあります。動物である以上は仕方がないのですが、ケガするほどひどい時は、落ち着くまでいったんケージに戻して時間や距離を置いたほうが良いかもしれません。
キューキュー、ギューギュー(さみしい)
特に発情期になると、狭くて暗いところに行っては頻繁にパートナーを呼びます。
我が家のカノンは、夜おやすみカバーをかけて寝かせたあと、よく切なげに鳴きます。切なさを前面に出した鳴き方で、どこかおばちゃんの声みたいにも聞こえます。(笑)まだ生後半年ぐらいの頃は「キューキュー」と、可愛く鳴いていました。次の動画は、肝心の姿が撮れていないのですが、鳴き声だけどうぞ。
女の子の場合、発情を抑えるために、居心地を良くし過ぎない、ご飯の量を減らすなど、色々対策はあるようです。
カノンは男の子なので、正直対策はほとんどしていませんが、呼ばれれば、少しカバーを開けて「寂しくなっちゃったね。ここにいるよ」と声をかけて収まるのを待ちます。
チッチッ、キャッキャッ(呼び鳴き)
これも呼び鳴きのひとつになります。カノンは「ヂェッ、ヂェッ!」という感じで鳴くことがあります。(笑)
ときどき私はカノンに「待ってて、すぐ戻るよ」と言って数秒~数分程度、部屋を出ることがありますが(※補足あり)、いつもその場所からこの鳴き方で呼ばれます。「どこ行くの?」とでも言っているように聞こえます。
どうしても一緒に行きたいときは私の肩や頭に乗り、なんとしてでもついてこようとするので、私が諦めて部屋を出るのをやめるか、いったんケージに戻ってもらいます。
メスの場合、「キャッ、キャッ!」と鳴くのをときどき動画で見ます。これは女の子ならではの呼び鳴きで、我が家で聞くことはありませんが、動画で見るととても可愛らしく聞こえます。
※【補足】放鳥時に、愛鳥から目を離すことは大変危険。予測不可能な事故が起こることもあるので、たとえわずかな時間でも、必ず1回ずつケージに戻すのが鉄則。カノンは日常的にケージよりも私と部屋で過ごしている時間のほうが長く、いくつかの言葉を理解しており、「待ってて」もほぼ習得していますが、入退室時には細心の注意を払っています。
ポピッ、ポピッ(嬉しい)
帰宅して、ケージを開けると嬉しそうに部屋を飛んだ後、私のそばに来ます。そして「ポピッ」「ポピッ」と小さめの声で鳴きます。これは、「文鳥同士の再会時の喜び」と言われています。
カノンは「ポピッ」とつぶやくように鳴いて、私の顔を見上げます。文鳥同士ではないはずですが、再会を喜んでくれているのでしょう。
最近、私が真似て「ポピッ」と返すと、何度も「ポピッ」と返してくれることに気付きました。まるで意思疎通ができているかのような錯覚に陥ります。
これは、他の子も同じか分かりませんが、カノンは時々「ポピッ、ポピッ」と言いながら、ごはんを食べます。特に、大好物のカナリーシードがたくさん入っているときにそう言うのです。同じ「ポピッ」なのですが、「美味しいね」と言っているかのように見えます。
ジジジッ!(警戒)
この鳴き方を初めて聞いたのは、部屋のシーリングライトを取り換えようと椅子の上に登った時でした。ライトのカバーを外そうとした瞬間、初めて聞く鳴き声でしたが、「危ない!危ない!」という意味だとすぐに理解しました。
記憶に新しい能登半島地震の時も、カノンは揺れる部屋の天井を見上げ、「ジジジッ!」と何度も鳴いて危険を知らせてくれました。
ゲゲゲッ!、ギョギョッ!(ヤバイ!恐い!)
ジジジジジッ!という時と同じように、低い声でゲゲッ!とかギョギョ!という鳴き声があります。これは「ヤバイ!」とか「何これ?!(恐い!)」という時に使われます。
普段の「ピッ」という声からは想像がつかないほど低い声で、初めて聞いた時は私のほうがびっくりしました。
カノンはよく大きめの洗濯物を干そうとしているのを見て、この鳴き方をしていましたが、最近は慣れたようで、鳴かなくなりました。
ポピヨポピヨ!!(慌てて阻止したいとき)
この鳴き方は、あまり情報を得たことがありませんが、私がカノンのお気に入りのバッグを触ろうとすると、遠くからでも「ポピヨポピヨ!ピピピピ!!」と大慌てで飛んできて怒り出します。この時の鳴き声は、3音ぐらいの音階をつけています。
「おいおいおい!何してるの!触らないでよ!」
と、鳴いているというよりは、まるで話しているようです。これは他の文鳥も同じように鳴くのでしょうか?
ぐぜり
オスの文鳥は、生後2カ月前後から「ぐぜり」と呼ばれるさえずりの練習を始めますが、オスだけでなくメスでもぐぜりをすることがあると聞いたことがあります。
カノンは1カ月過ぎた頃から、小さな声でブツブツと独り言を言うことがありました。その声はとても小さく、「え?なに?」と返したくなるほどでした。その後、「グジュ、グジュ」となり、私に隠れるようにして唸るような声を出すようになりました。
ある日、キッチンで火を使っていると、突然大きな唸り声が聞こえました。私は慌てて火を止めてカノンのそばに行くと、カノンはキョトンとして「どうしたの?」と見つめてきました。その数日後、別の部屋にいるときにも唸り声が聞こえてきました。戸を少し開けてカノンがいる部屋を覗くと、やはりカノンが鳴いていました。カノンは私に隠れてぐぜりをしていたのでした。
そうしてやっと隠し撮りに成功しました。
「ぐぜり」は当初、文鳥の知識がなかった私にとって、なかなか判断が難しく、理解しにくかったです。正直、「グジュグジュという声」と聞いてはいても、実際に聞くのとは全く異なるものでした。
生後3カ月を過ぎると、公開練習をするようになったので、そんな頃から、うぐいすが鳴いているYouTube動画を毎日しつこいほど再生していたら、ジー!っとパソコン画面を見て聞いているようでした。
さえずり
そんなある日、「ピゥ~・・・ホケキョ!」と言うようになりました。
うぐいすの鳴き声を聴かせていなければ、どんなさえずりになっただろうと思います。カノンオリジナルソングを聴いてみるのもよかったかもしれません。
多頭飼いの場合は、先住の子のさえずりを真似すると言います。
オスのさえずりは、メスにアピールするための求愛ソングなので、とても通る声で大きく聞こえます。オスはメスのそばでさえずりながら、ピョンピョンとその場で跳ねて踊って可愛らしい姿を見せてくれますよ。
歌い出す前にクチバシで「ジ、ジ、ジ、ジ・・・」とリズムを取っているように聞こえます。カノンは時折、裏で拍を取り、アレンジして歌うこともあります。
余談ですが、このリズムのような音について調べていたら、「歌いながら拍子をとる文鳥」という論文(2015年・北海道大学)が出ていて、非常に興味深いものでした。この論文によると、クチバシでリズムをとる音は「求愛歌の特定の音素の前後に発せられている」のだそうです。
その結果、文鳥の嘴音は、求愛歌の特定の音素の前後に発せられていることがわかりました。さらに、この嘴音と求愛歌の関係は父個体と息子個体で似ていることが確認されました。しかし、社会的に隔離して育った個体の求愛歌にも嘴音は挿入されていたことから、嘴音を発する行動自体は学習性ではないと考えられます。ただし、特定の音素の発声に必ず嘴音が付随するわけではないことから、発声と嘴音はある程度独立して生じていると考えられ、文鳥は求愛歌と嘴音をうまく同調させて発している、といえるでしょう。
引用元:北海道大学 理学部生物科学科
引用元リンクから、論文(英文)も見れるので、ご興味のある方はどうぞ。
また、お世話になっている小鳥の病院の先生によると、「さえずりはリラックスしているときにかしない」とのことだったので、歌っているときはリラックスしていると思って良さそうですね。
まとめ
文鳥語が分かったら、もっと意思疎通ができるのに・・・と思うことがたまにありますが、こうしてみると私たち飼い主はもうかなりの文鳥語を把握して、コミュニケーションに活かせているのかもしれません。
これから文鳥をお迎えする方は、ぜひそのしぐさととともに鳴き声に耳を傾けてみてほしいと思います。人間には音にしか聞こえない、いつもの「ピッ!」や「チチッ!」をはじめとするいろんな鳴き方で、文鳥は私たちに向けて、気持ちや意思を伝えてくれています。
文鳥の鳴き方で気持ちを知って、文鳥とのコミュニケーションをより一層楽しみたいですね。
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